――終章

 それから、シーラは特殊部隊の一員となり、ルーガも体に叩き込まれた暗殺術があったので、その運動能力を活かすため特殊部隊に入った。シーラの部下だった盗賊たちは皆、東の塔から卒業していった。
 ルイアが母と住んでいた土地には大きな施設が建てられ、国中から孤児が集められている。後に〈太陽の国〉にちなんで〈太陽の家〉と呼ばれるようになるその施設は、まだできたばかりで基礎さえもできていなかった。その責任者であるルイアも毎日のように足を運び、王都サン・タウンやその周辺には自ら出向いて孤児たちを集めている。ルイアとしては、一人も見落としたくないのだろう。
 そのように忙しい日々を送っていた、ある日のことだった。
「ねー、今カノンから聞いたんだけど、北の湖水地方の小さな村で、七人の男たちが好き放題やってるんだって!」
「……行くの、ルイア姉?」
 麻薬症状が出なくなったルーガは、以前のようにルイアにべったりくっついていることがなくなったが、ルイアのことを姉と呼んで慕っている。
「また旅か……」
 ルイアの様子から、止めることは不可能と悟ったフィーザスは溜息をつく。
「もちろん! その七人の男たちと、ある金持ちがつながっていて、おもしろいことになりそうだもの! 自由参加だけど、みんなはどうする?」
「それを聞いて留守番なんかしてらんねーよ。俺は行くぜ!」
 おもしろそうなことが大好きなヤマト。それにつられてシーラも答える。
「あたしもだ! この頃訓練ばっかだったしな」
 さすが元盗賊。暴れたいらしい。
「拙者も行きます。そのような輩をのさばらしておいたのでは、拙者の剣に反します」
 〈殺戮のヒドラ〉を倒した剣士。ビオアジャスト・エンヴィは今も健在である。
「ルーガは?」
「行くよ。僕の特殊部隊としての初仕事だし」
 それに、もっと世の中のいろいろなものを見てみたい。
 麻薬漬けにされていたルーガは、これまでのことをほとんど覚えていない。自分の意思で行動したことがあまりないからだ。だからこそ、ルーガは行く。
 何も言わないフィーザスはもちろん参加だ。
「じゃあ、グラザーン国王の許可とってくるから準備してて!」
 ルイアの明るい声に特殊部隊のメンバーたちは、
「了解!」
 と、声をそろえて返事をした。

 普通ではない王女と、普通ではない仲間たちの物語は、まだまだ続きそうである。


〈完〉

第5章

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